びずまんぶろぐ

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ロサンゼルス駐在⇒転職して東京で外資系勤務のしがないサラリーマンのブログ。妻と娘の3人家族。

IPO間近のUberとLyft - 普及当時にアメリカに住んでいた僕が見る両社の違いは?


ライドシェア最大手のUber、その次に大きなLyftがそろってIPOの準備を始めたと報じられたのは2018年12月。

Uberの企業価値(時価総額)は760億ドル(約8兆円)~1200億ドル(約13兆円)、Lyftの企業価値(時価総額)は250億ドル(約3兆円)とも見積もられ、超大型IPOとして注目を集めました。

 

そして、注目されたもう一つの理由は、その筆頭出資者が両方とも日本企業であること。

Uberに約20%出資しているのは孫社長率いるソフトバンクグループ、Lyftに約13%出資しているのは三木谷社長率いる楽天です。

 

そんな注目を集めるなか、LyftはUberに先駆けて米国時間2019年3/1に米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を正式に申請したとの報道がありました。

これを受けて4755 楽天の株価も約5%ほど伸びたようですが、どうも反応はイマイチ鈍い。

Uberも数週間後にはIPOを正式申請するとみられていますが、あまり大きなニュースにもなっていないところを見るとやはり日本人にとってはUberやLyftなどのライドシェアに対するイメージが湧かないのかな、と。

 

そこで、今回はちょうどUberが流行りだした時期にアメリカに在住していた(2015年~2018年)僕が、UberとLyftについて感じていたことをつづってみたいと思います。

 

Uber はスマートフォン登場と同等のインパクト

「Uber使ってないの?」

アメリカに行ってほどなくして知り合いから言われたのがこの言葉で、僕がアメリカ(ロサンゼルス)に渡った2015年当時すでにUberはとても流行っていました。

すぐに呑み会の帰りに使ってみたのですが、一瞬でその便利さに驚きました。

スマホひとつでいつでもどこにいても迎えに来てくれて、目的地に運んでくれる上に、タクシーのおよそ半分くらいの値段。

目的地を伝える面倒もなければ、サービスの質も悪くない。

 

呑み会の終盤なんかにはみんなが「そろそろUber呼ぶ?」「Uber呼んだ?」「僕のドライバー来たみたい」という会話になるくらい、生活になくてはならないものとなっていました。

アメリカは日本ほど公共交通が発達しておらず車社会、という背景も要因でしょうが、「生活スタイルを変えた」商品やサービスといった意味では、インターネットやスマートフォンと同等の衝撃を受けました。

 

日本ではまだまだUberは「ただの白タク」くらいの認識しかされていませんが、実際に爆発的に普及した当時にアメリカに住んでいた僕からすればITを活用して生活革命を起こしたモンスター企業です。

 

Uber の仕組み

僕も使い始めた当時Uberの仕組みをよくは理解していなかったのですが、簡単に言えばUberは近くにいる「自家用車を使って人を運び、気軽にお小遣い稼ぎをしたい人」と「現在地から目的地まで運んでほしい人」とをマッチングするアプリです。

 

ここ、いまだに勘違いしている人が多いところかもしれませんが、重要ですのでもう一度。

Uberとは、単なるマッチングアプリです。

これが「ライドシェア」と呼ばれる所以。

 

運転手側は登録制で審査があり、ユーザ側はスマートフォンからの簡単な登録のみで利用できます。

実際にやっていることはタクシーの配車と同じですが、仕組みは全く別物なんですね。

実際に運用はアプリのシステムが全て行います。

タクシーのように車体への投資、管理や機器などが必要なくコストを抑えられるので、運転手も高い時給を得られるし、ユーザも安くで利用できるわけですね。

 

根幹の仕組みが「マッチングアプリ」なので、運転手側もユーザ側もそれぞれ取捨選択をしたり、お互いに評価しあったりすることができることが、この仕組みのすごいところだと思います。

例えば、運転手が「このお客さんは長距離希望だけど、あと2時間後に別の予定があるから長距離は乗せたくない」とか「このお客さんは評価が悪いからパス」なんてこともできるし、乗客が「この車種は嫌いだから乗りたくない」とか、当然「このドライバーは評価が悪いからパス」なんてこともできるんです。

しかもそういった面倒な選択や支払いもすべてアプリ上で完結します。

 

この「相互評価」の仕組みが絶妙で、このサービスが成り立っています。

ユーザは乗車ごとに運転手に対して「空調は適切か」「車内は清潔化」「運転は丁寧か」「トークや対応はちょうど良いか」などを評価しなければなりません。

そのため運転手は評価を高めないとお客さんを取れないので、総じてサービスのレベルが高くなるのです。

また、ユーザも運転手から評価されるので、態度の悪いユーザは評価が下がり、運転手側から「乗車拒否」され車が捕まらなくなってしまいます。

 

というか、アメリカではそもそもタクシーのサービスの質がものすごく悪い(運転が荒いなど)ので、余計にUber の方が良く感じてしまうんでしょうね。

まあUberにも当然当たり外れはあるのですが...(車内が変なにおい、など)

 

UberとLyft

僕がアメリカを離れた2018年の4月ごろでも、実感としてほとんどの人がLyftではなくUberを使っていたように思います。

なかには両方を使う人もいましたが、それでも圧倒的多数派はUber。

Lyftも色々とキャンペーンをしていたので認知度はありましたが、僕は一度もLyftを使ったことはありませんでした。

例えるなら、iPhone登場時の「スマートフォン = iPhone」くらいのイメージがライドシェアにおけるUberのイメージでしょうか。

いまでこそサムスンなどのシェアも上がっているので、今後は変化していくのかもしれませんが。

最近発表されたデータによるとアメリカにおけるシェアは7:3(3がLyft)くらいまでLyftが拡大したようですが、実感としては現時点でそんなにもLyftが普及していたようには思いません。

 

そもそもUberとLyftは目指しているものが違うので、比較するのも正しくないのかもしれませんね。

UberはIT技術やAIを用いたモビリティ革命を起こして人々に様々なプラットフォームを提供することを目的としている一方、LyftはIPO申請書の中で「最高の移動手段で人々の生活を向上させること」を同社の目的としました。

Uberは「移動手段」のみにこだわらず、新しいテクノロジー、新しいプラットフォーム、新しいサービスを生み出すことを会社の使命としているので、多角的なサービスを打ち出していますし、テクノロジーの研究開発にも積極的です。

日本でも展開されているUber eatsなんかもその一つですね。

Lyftはあくまで「移動手段」に集中した企業、といった感じでしょうか。

 

収益性と今後

発表されている収益情報では、Uber、Lyftともに大幅な赤字ですので、巨額な時価総額予想は「過大評価」との見方もあります。

しかし、プラットフォーム企業というのは、仕組みを浸透させてからが勝負です。

Uberは自動運転の技術開発・導入にとても積極的ですが、それは自動運転技術が導入されれば、飛躍的に収益性が改善するから。

UnerやLyftは自動運転やAIの活用の余地が非常に残っているのです。

 

実際にUberの普及を体験していた僕からすれば、Uberは生活革命を起こした企業に間違いありません。

日本ではUberはまだ部分的な導入しかされていませんが、遅かれ早かれ導入されていくものと思っています。

 

それくらいのインパクトを持った企業がIPOを控えており、その筆頭株主が日本企業。

もっともっと注目されてもいいんじゃないかな、と思いますね。

 

UberのIPOがされ、実際に900億ドル程度の評価額となれば、9984 ソフトバンクグループが保有する上場株式の時価総額が2兆円ほど増加することになり、発行済株式一株あたりにすると2,000円程度になります。

9984 ソフトバンクグループが10,000円そこそこ(2019/3/5 終値 10,485円)で終わるわけがない、と思っているのですが、果たしてどうでしょうか。

 

そう思って昨日2019/3/5、少し下がってきたところを200株買い増しました。

果たして…!

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