びずまんぶろぐ

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ロサンゼルスで働く意識低い系ビジネスマンのブログ。株式投資や生活についてつぶやきます。

「成長のために転職」には違和感しかおぼえない

キャリアの話

最近、立て続けに知り合いが3人転職しました。 

2人は会社の同期、1人は大学のゼミの同級生。

奇しくも、3人とも示し合わせたかのように同じ転職先でした。某外資系コンサルティングファーム。そして、3人ともラインやFacebookでの転職報告に、転職理由を「成長を求めて」と書いていました。

 

うん、わかる。めっちゃわかる。

わかるんだけど、なんかすごく違和感おぼえませんか?僕だけ?

 

だいたい30歳前後で人生について色々と考えて、「このままでいいの?」と思う。僕もそう思うし、おそらく誰しもが不安に感じてる。

僕も少し弱っているときは自分を奮い立たせるためにスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学のスピーチを見るし、「やりたいことをやれ」と言う人は多い。

 

 

 

If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?

(もし今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることは 本当に自分のやりたいことだろうか?)

 - スティーブ・ジョブズ、スタンフォード大学2005年卒業式で行われた伝説のスピーチより

 

スティーブ・ジョブズは、この後、「(毎日鏡に映る自分に問いかけて)それに対する答えが"NO"の日が何日も続くと私は"何かを変える必要がある"と自覚するわけです。」と述べています。

僕だってこの言葉にはドキッとするし、この問いに対して何日も"NO"が続くことはあります。でも、じゃあそれで転職しよう、と言うのもなんか違うなぁ、と思ってしまうんです。

 

そして、決まり文句のような「成長のための転職」

え、ちょっと待って、大丈夫?と言う気持ちが強すぎて、転職報告に対して、Facebookで「いいね」なんてできないし、「おめでとう!頑張って!」みたいなありきたりなコメントもできない。何、この違和感。

 

違和感の正体

まずは、僕が違和感をおぼえる理由を、ざっと書き出してみました。

 

  1. 転職理由って本当に「成長を求めて」?
  2. 転職先企業があなたのことをどう評価しているか、わかってるの?
  3. 30歳前後で転職って年齢微妙じゃない?
  4. 転職する前の勤務先ではどう成長したの?どう評価されていたの?
  5. 成長した後どうしたいの?

 

 1. 転職理由って本当に「成長を求めて」?

違和感をおぼえる一番の理由はおそらくこれ。ほんまかいなそれ、という単純な懐疑心。「何をカッコええこと言うてんねん。ほんまは今の会社が嫌になっただけやろ?ほんまのこと言えよ。」という気持ち。

転職をする、というのは一大決心が必要なイベントです。実際にその3人と話をしたわけではないので本当のところはわからないのですが、そんな一大イベントを決める原動力の一つには、おそらく「嫌なところから逃げ出したいから」とか「自分と合わないから」とか負の感情も含まれているはずです。いや、別に負の感情を原動力に転職をすることがダメだと言っているわけではないんです。ただ、それを一切なかったことにして、「成長を求めて」とかカッコイイことだけ言ってるとしたら、それって凄いダサいなぁ、と思ってしまうんです。

 

2. 転職先企業があなたのことをどう評価しているか、わかってるの?

企業は学校ではないので、従業員が成長する環境を提供するところではありません。従業員から「労働力」をはじめとする価値を買うのが企業です。まあ、研修などを行なって従業員が成長する機会を与えることもあるでしょうが、それは企業にとってメリットがあるからです。特に、長期雇用がまだ一般的な日本企業では、従業員を教育する価値は十分にあるかもしれません。

しかし、「自分の成長のため」と言って企業を切り捨てる従業員を、転職先企業はどう見るでしょうか。積極的に「自社の将来のために成長してもらいたい」と考えるでしょうか?いずれ同じように自社を切り捨てるかもしれない社員を。普通に考えたら、とりあえず「労働力」として必要なだけ頑張ってもらおうかな、と思うんじゃないですかね。

企業側から求められて転職を決める場合や現時点で人並み以上の価値を十分に発揮できる場合はこの限りではないですが、転職エージェントなどを使ってなんとなく条件が合った、という場合であれば、まず間違いなく転職先企業はその転職者のことをただの「労働力」として見ているはずです。

今回転職をした僕の周りの3人はたまたまとはいえ同じ企業。つまり、その企業は今現在、単純に労働力を必要としているだけ、の可能性が高いのです。僕もその企業についてさすがに気になって色々調べてみましたが、調べれば調べるほど、その推測は正しいんじゃないかと思いました。

そのことを、本当にわかっているのかどうか。

 

3. 30歳前後で転職って年齢微妙じゃない?

30歳前後って、早すぎず、遅すぎずで、なんとなく微妙じゃないですか?年齢的に、転職前の企業で何か誇れるような実績を挙げている可能性も低いし、決断が早いわけでもない。

とすれば、キャリアとしてはリセットしてほぼ一からやり直し。

また、誇れるような実績を挙げていないということは、企業から受けた人材への初期投資に対して何かしらの貢献で返すこともできていない、ということにもなります。投資に対してリターンを返さない人材は、それだけで信用を失います

そう考えると、30歳前後で転職するなら、もう少し待って何か誇れるような実績をあげてからの方がよくないですか。

とか考えてたら、HUNTER x HUNTER のワンシーンを思い出して、すごくしっくりきました。これ。

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4. 転職する前の勤務先ではどう成長したの?どう評価されていたの?

大学の同期についてはどうかわかりませんが、会社の同期2人については、残念ながら社内で高く評価されていた、というわけではありませんでした。企業との相性、合う合わないは確かにあるとは思うのですが、成長する奴はどこにいたって成長するし、成長しない奴はどこにいたって成長しません。

転職前の企業でどう成長して、どう評価されていたのか。

今後どのように成長するために転職先の企業に転職するのか。

そのストーリーが不透明であればあるほど、その人のキャリアは不透明なものになってしまいます。単純に「成長を求めて転職します」とかFacebookに書いちゃう人の不透明感ヤバくないですか。

蒼井優の透明感を100スケスケールとすると、だいたい5スケスケールくらいの透明度です。ほぼ濁っていて将来が全く見えんとです。ヒロシです。

 

5. 成長した後どうしたいの?

で、成長した後何になりたいの?シン・ゴジラ?

 

転職について

僕も転職について考えたことはありますので、転職が悪いものだと思っているわけでは全くありません。将来的に選択するオプションの一つだとも思っています。

実際、転職の話を聞いても、人によっては転職した方がいい、と思うこともあるし、「やりたいこと」が明確にあって、それをやるための具体的な戦略が自分の中にあって、タイミングやチャンスがあれば転職することや会社を辞めることもアリです。

また、例えば、数年後には仕事を辞めて専業主婦や専業主夫になる、というつもりであれば、「今の職場が嫌だから辞める」もいいと思います。 

 

でも、転職するということは、メリットと同時にデメリットも多いはずです。

特に、転職先企業に求められて転職をする場合ではなく、転職したいから転職をする場合は、十分にこのメリットとデメリットを吟味する必要があります。

 僕も実際、転職を真剣に考えていた時に転職のメリットとデメリット、今、満足していることと不満であること、を書き出してみたことがあります。そしたら、「今は転職しない方が得」という結論になりました。意外と人間って、「今、満足していること」は冷静になって意識しないと気がつかないもんなんです。

転職しなかったとしても、自分自身の異動とか、上司や同僚の異動とか、色々なことで状況はガラリと変わります。僕も、転職を考えていた時はまさか自分がアメリカに異動になるなんて考えてもいませんでした。そんな可能性なんて全然見えていませんでした。

 

また、転職を考える上で、「エンゼルバンク」という漫画も非常にためになりました。モヤモヤの正体がはっきりします。オススメ。

 

 

僕はアメリカで人事もやっています。転職が一般的なアメリカでも、中途半端な転職は評価されません。

ステップアップのために転職するのであれば、少なくとも元の企業でスーパーバイザーやマネージャークラスであるべき。上に行きたいが会社の事情でポストが空いていない場合や、働きに対して賃金水準が見合っていない場合、などでないと、日本と同じようにキャリアに対してあまりいい影響を与えないことが多いです。

 

まとめ

色々書いてきましたけど、結局言いたいのは、他人から見て違和感のある転職ってダメなんじゃないの?ということ。

なんか、若い人の間で「転職」=「アグレッシブでチャレンジングですごいこと」みたいなイメージがあるような気がするんですが、なんてことはない、ただ職場を変えるだけのことです。

そしてそれを「成長のために」とか言っちゃうのは、もはや自分に酔ってるだけとしか思えない。でも、転職なんて酔ってするもんじゃない。シラフで、ちゃんと考えたうえでタイミングを見計らってするべきです。

 

転職を考えている人は、今一度、上記の5個の「違和感の正体」について、自分に質問してみてください。そして、気の置けない友人に、率直な感想や意見を求めてみてください。

自分への質問に、自信を持って答えられるなら、また、気の置けない友人がそれでも背中を押してくれるなら、転職してもいいんじゃないでしょうか。

 

その時は、どうか、Facebookに「成長のために転職します」なんてサブい報告はしないでください。ぜひ、成長の成果をFacebookでシェアしてほしいです。